青森の伝統野菜:阿房宮(あぼうきゅう)
青森県南部地方を代表する作物に、菊を愛でたという秦の始皇帝の宮殿の名を与えられた食用菊があります。独特の甘味と芳香や目に鮮やかな色合い。そして歯ざわり。南部地方に古くから伝わる「阿房宮」です。
エディブルフラワーと聞くと西洋文化のように聞こえますが、日本にも古来から花を食用として利用していました。江戸時代にはかなり大衆化していたようです。食用菊というと、刺身と一緒に盛られる「つま菊」が関東以西では一般的ですが、東北地方では野菜の一種として大ぶりな花びらを食べます。
現在、栽培されている食用としての菊は約60種。青森県の南部地方特産で黄色の「阿房宮」が代表的なほか、山形で「もってのほか」と呼ばれる淡紅紫の「延命楽」です。
「阿房宮」の花は、冬前の時期(10月下旬〜11月)にかけてが満開で、その時、名峰名久井岳に向かうゆるやかな斜面一面が阿房宮独特の黄色で覆われます。
菊の刈り取りは、太陽により発生し蓄えられた甘味をいっぱい取り込むため、気温が落ち始める前の午後3時頃から始めます。菊の花をひとつずつ鎌で刈り取り、花びらを一枚ずつむしる「菊ほかし」が続きます。花びらだけになった「阿房宮」は、蒸され、干し上げられて干し菊となります。
阿房宮は香りが強いほか、しゃきしゃきとした食感がよい。てんぷらに揚げたりして楽しんだり、茹でて酢の物にしたりします。また、蒸して乾燥した「干し菊」にして保存しておくと香りと食感が保たれるので、いろいろな料理に使えます。
