埼玉の伝統野菜:山東菜(さんとうな)

山東菜はその名の通り中国の山東省を原産地とする野菜。白菜と同じアブラナ科であるが、白菜のように完全に結球することはなく、葉先が開いたままで大きく育っていく半結球の野菜といわれている。

 

埼玉県の東南部で多く栽培されているが生産量は少なく、年末にかけて多く出荷される。葉は白菜よりも濃い緑色をしており、多くのカロチンを含んでいる。ビタミンCやカルシウムも豊富で非常に栄養価が高い。発熱への予防に効果があり、また胃腸の調子をよくする、風邪予防など冬の野菜として優れた野菜だ。また肩こりにも効果的であるとされている。

 

山東菜は白菜の仲間ということで、葉っぱが大きく、味わいがとても淡白なのでお浸しや漬物などのあっさりしたものが料理方法としては好まれる。地域によっては白菜と同じ樽に漬けて漬物を作るところもあるという。また味噌汁や煮物、あるいは炒め物として活用すると、あっさりした中に、他の食材のうまみを吸収する。調理方法も応用が利き、他の食材との相性もいいとても活用しがいのある野菜であるといえよう。

 

お浸しにするならば、30秒ほど湯がいた後で水で冷やし、絞っていりごま、あるいは鰹節に醤油を少々たらすととても具合のよいはしやすめの料理が出来上がる。味噌汁にする場合も同様に30秒前後湯がく程度が良い。いずれにせよ熱をさっと通す程度が、食感と、味わいを同時に楽しむコツというわけだ。

東京の伝統野菜;のらぼう菜(のらぼうな)

 

のらぼう菜は東京や神奈川を中心に栽培されている野菜で特に川崎市多摩区での栽培が多い。この地区の特産野菜としても認定されている。見た目はホウレン草や菜の花に似ているアブラナ科の野菜でお浸しなどの利用が多い。もともとは東京のあきる野市や五日市を中心に栽培されていたもので江戸時代から生産されてきたという。天明、天保の飢饉の際にはこののらぼう菜によって地域住民が救われたという話も残っている。代々自家用での栽培が続けられてきた土着な野菜であるが近年になってその味が世間へと広まり人気が出てきている。

 

 のらぼう菜は8月の下旬に種をまく。10月になって苗を畑に植え付けて、年を越した3月になってから伸びた茎や葉を収穫し食用とする。この時期ののらぼう菜はクセがなく甘味が強いので、野菜が比較的少ない春先においしくいただくことができる野菜として重宝されている。また収穫の尾張の時期になると蕾がついたものも出荷されるが、ほんのりとした苦味が加わった春の味としてこちらも人気がある。荒れ地でも育ちやすく、また無農薬の栽培も簡単に行えるので、特別な技術を必要とせずに体に優しい野菜を育てることができる。

 

 味わいは菜の花に似ているといわれる。しかし前述したようにクセがなく、またすっきりとした甘味を持っている。通常はおひたしやあえ物などすっきりと食べるがてんぷらやみそ汁の具として用いてもおいしい。

埼玉の伝統野菜:べか菜(べかな)

埼玉県の東南部や東京都を原産地とする地方伝統野菜、べか菜。これは山東白菜あるいは山東菜の一種、あるいはほぼ同種といってもいいが、明治初期に中国の山東省から日本に伝わった三東菜の中から小束収穫用でとても早い時期に収穫するため選抜し育成されたのがべか菜である。昔「べか船」と呼ばれる小型の運搬船で運ばれていたことがこの名の由来とされている。

 

白菜はべか菜と同じアブラナ科であるが、成長していっても実が結球せずに葉先が開いた半結球状態で大きくなるのが特徴であるがたいていは結球が始まる前に収穫されてしまう。ちなみに小松菜もこれと同じアブラナ科に入り、同産地の特産野菜として有名である。べか菜は播種から収穫までの期間が短いのが特徴である。

 

夏の時期ならば20日から25日、冬の時期ならば30日から40日とだいたい1カ月前後で収穫の時期を迎えてしまう。また暑さ、寒さに非常に強く、またとても丈夫で、ある程度の温度管理に気を使えば一年を通じて栽培が可能だ。

どんな時期でもべか菜で食卓を飾ることができるのも魅力の一つだろう。

 

食べ方としては緑の葉の部分から白い茎の部分までほとんどすべてを食す。味噌汁の実やおひたし、漬物など調理方法は白菜や、他の青物野菜と似ている。しかし通年収穫できることで、日本の食卓には欠かせない青物野菜として、昔から重宝されてきた。また日本の家庭的な料理だけではなく中華料理の炒め物としても非常に有用な食材であろう。


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